DEEP PURPLE - DEFINITIVE NAGOYA 1973(1CD)
Live at Nagoya-shi Kokaido, Nagoya, Japan 24th June 1973

 

　衝撃の新発掘シリーズ、“1973年編”の第２弾です。先日の初来日アルバム『OSAKA 1972 1ST NIGHT』『同 2ND NIGHT』が絶賛大好評の最中ですが、今週は翌1973年がテーマ。２度目の来日公演も、初来日２本と同じ独自ルートから新発掘カセット・マスターがもたらされた。本作もまた、そのカセットからダイレクトにCD化した１本なのです。

　そんな本作が記録されたのは「1973年６月24日：名古屋市公会堂」公演。当店では、以前からDEEP PURPLE２度目の来日を全公演プレス・アルバムでお届けしてきました。今週は３本同時リリースでもありますので、各日の決定盤をツアー・スケジュールで整理してみましょう。

 

・６月23日：広島市公会堂　『DEFINITIVE HIROSHIMA 1973』
・６月24日：名古屋市公会堂　【本作】
・６月25日：日本武道館　『DEFINITIVE BUDOKAN 1973』
・６月26日：日本武道館（中止）
・６月27日：大阪厚生年金会館　『FINAL BLACK』
・６月29日：大阪厚生年金会館　『"THE END"』
（※各日とも代表プレス・タイトルのみ）

 

　これが“運命の1973年”と呼ばれる２度目の来日の全容。本作の名古屋公演は２公演目にあたるコンサートでした。この日の決定盤と言えば『LIVE IN NAGOYA（Darker Than Blue 148）』があったわけですが、本作はあの名盤とは別録音です。とは言っても完全な初登場ではなく、長年この日の真実を伝えてきた定番の名録音。当店で言うと『LIVE IN NAGOYA』の補完パートに使用されていた録音の完全版。もちろん、今回の新発掘シリーズの他作品と同様、世代も異なる新発掘マスターです。

　そのサウンドは、何とも見事なヴィンテージ・サウンド。一聴すると高音の抜けも鋭い『LIVE IN NAGOYA』の方がクリアにも聞こえますが、アンサンブル全体の肉厚な感触、叩きつけるようなダイレクト感は本作の方が上。特に距離をほとんど感じない“間近感”は、幾多の来日録音でも屈指の素晴らしさです。その逞しさは、観客の熱狂も制圧しきる。実のところ、『LIVE IN NAGOYA』の激しくクリアなサウンドは、現場の熱狂もクリアに捉えていた。本作にもその熱狂は吸い込まれてはいるものの、圧倒的にタフな演奏と歌声が主役の座を微塵も譲らない。しかも、そのタフなサウンドが当代きってのハードロックの権化によく似合う。70年代の空気感と共に、アグレッシヴなフレーズの応酬とパワフルなビートがぶつかり合うハードロック・パラダイスなのです。

　そのサウンドで貫かれるフルショウが素晴らしい。『LIVE IN NAGOYA』には欠けがあり、本作と同じ録音から補填されていました。しかし、こちらは「Space Truckin’」イントロのリズムキープ・パートがテープチェンジでわずかに欠けているだけで、演奏はほぼほぼ一気貫通。『LIVE IN NAGOYA』から補填したのは終演アナウンスだけ（女声の「本日はありがとうございました……」アナウンスは、そだけでとても雰囲気があります）。音質が変わることもなく現場を滑らかに味わい尽くすことができるのです。

　同じルートから発掘された奇跡のカセット・マスター。本作１本でも極上のヴィンテージ・アルバムですが、シリーズをコレクトする上でも欠かせない１枚。『DEFINITIVE HIROSHIMA 1973』『DEFINITIVE BUDOKAN 1973』と共に、同じ道を辿って44年の時間を超えてきた名記録。どうぞ、新たなるサウンド３本で“1973年の真実”に迫ってください。

(76:14)
1. Intro. 2. Highway Star 3. Smoke On The Water 4. Strange Kind Of Woman
5. Child In Time 6. Keyboard Solo 7. Lazy 8. Drum Solo 9. The Mule
10. Space Truckin' 11. Black Night