LED ZEPPELIN - DESTROYER Ⅱ(3CD)
Live at Richfield Coliseum, Cleveland, OH. USA 28th April 1977
1977年アメリカ・ツアー、4月のクリーブランドと言えば誰もが思い出すのは永遠のスタンダード「DESTROYER」こと27日の公演。LP時代から現在に至るまで、揺るぎない定番音源と化したサウンドボード録音、当店からもベスト・バージョンの誉れ高き「1st Gen Reels」がリリースされたのは記憶に新しいところ。同じようにLP時代からの定番として、28日の公演も有名なもの。こちらはオーディエンス録音ながらも十分に良好な音質であり、あの定番音源の翌日、しかも同じ場所での公演ということから「DESTROYER II」の名が冠されて現在に至っています。
27日がどっしり、スッキリの77年基本グルーブ感を捉えた名音源だとすれば、翌日はツアー開始後、初めていい感じに弾けるZEPの姿を捉えたものだと例えられるでしょう。77年アメリカ・ツアーはそれまで以上に連日の長時間演奏が確約された構成で連日のショーが繰り広げられました。4月に関して言うと、75年を最後にライブ・ツアーから離れていたZEPがツアーを再開させた時期ということに加え、先の長時間構成が序盤から導入されたことから、少なからず「おっかなびっくり」な雰囲気が伺えました。
例えばツアー最初の連続公演となったシカゴでは翌日が地元のホッケー・チームに会場を明け渡さなければならないことから短縮ショーで行われた7日、ところが今度ペイジの体調不良にてショーが打ち切られてしまった9日といった具合で、順調な滑り出しとはお世辞にも言えません。恐らくは、未だに音源が発掘されていない時期である12日のミネアポリスや15日のセント・ルイス辺りからツアーが調子を掴んだのではと推測されます。4月が20日を過ぎるとZEPは波に乗り、過去に当店がリリースした23日のアトランタ公演「HOW MANY MORE YEARS GONE WITH THE WIND」(TCOLZ) からもそれがはっきりと伺えたものです。
27日のクリーブランドになると77年ツアーらしさというものが確立され、今回リリースされる28日でZEPがいよいよ躍動してみせたのです。前日のようなクリアネスに長けたサウンドボードでなくとも、この日の演奏が序盤から勢いたっぷりにスタートしていたことがはっきりと伝わってくるのが素晴らしい!まずは「Nobody’s Fault But Mine」でZEPが最初の頂点に達します。中でもプラントが聴かせる気合たっぷりのシャウトは壮絶。
さらに今度はペイジが主人公となる「Since I've Been Loving You」の切れ味。77年ツアーの中でも、特にこの日のペイジは「弾けて」いるのが伝わってくるでしょう。それを支えるボンゾが合間で爆裂ヒッティング・ドラムをかましてくれるのがまた77年らしい。
このことからも解るように、ボンゾはLAのぶっ飛び感とは違ったナチュラルな爆裂ドラミングですし、何よりもプラントが上機嫌。よっぽど気分が乗っていたのか、彼の大好きなプレスリー・ナンバー「Surrender」を曲間で歌い出すと、ボンゾがそれに合わせるという愉快な場面まで現れます。ここまでの前半部分でも非常に素晴らしい演奏が連続していたのですが、「No Quarter」ではジョンジーが「Nutrocker」をプレイしてバンドも会場もヒートアップ。ここでもボンゾのドラムが随所で爆裂していますが、LAの時ほどぶっ飛んだ調子でなく、それでいて存在感をいかんなく発揮してくれているのがポイント。
ショー中盤を告げる「Ten Years Gone」ではジョンジーの弾くサブ・ギターの音が非常によく聴こえます。前日のSBDと比べてみても、よりくっきり前面に押し出されている。4月のツアーでは後の名物となるジョンジーのトリプル・ネックが導入されておらず、代わりにオベーションの12弦エレアコをプレイ(前日などはそれを弾く姿が写真で残っています)。PAシステムから増幅させるには、5月のレグから導入されるトリプル・ネックより容易であったことは、この会場に鳴り響いた12弦サウンドを聴けば一目瞭然でしょう。
歌パートがメインとなるアコースティック・セットでは再びプラントがご機嫌。「Black Country Woman」の前では、自身がお気に入りのナンバーだと公言していた「Dancing Days」をほのめかし、ペイジも少しだけ合わせてあげています。観客はそれだけでも大きに盛り上がってみせたのですが、これがもう少しまともなスタイルで演奏されるのは一か月後のランドーバーまで待たなければなりません。
ライブ後半がまた素晴らしく、ボンゾが相変わらず冴えわたっています。「Rock And Roll」での盛り上げ方などは壮絶の一言。やはりここでも彼の派手ながらも行き過ぎないドラミングに好感を覚えます。そしてアンコールの「Trampled Underfoot」はちょっとスローな雰囲気で始まるのが面白く、前日の同曲と聴き比べるとなおさら楽しめるかと思います。全体を通しての自然な勢いは、あの暴走気味だった6月のLAとはまた違った魅力が随所で輝きを放っているのです。
音源自体には問題もあり、カットが頻繁に見受けられます。中でも「No Quarter」や「Stairway To Heaven」のカットは致命傷だと言えるもの。また「Nobody’s Fault But Mine」イントロのカットをコピペ編集にて隠蔽したアイテムなども存在していました。マニアの方は懐かしさを覚えることでしょう。
それでもなお、文句なしに名演と呼べる内容に加え、1977年4月のオーディエンス録音としてはモノラル音質ながらベストの部類にクオリティを誇ることから、これまで何度もリリースされてきたものです。ところが、ほとんどのアイテムがピッチの遅さという問題を放置しており、しかもそれが微妙に変動する状態であったことから、なおさらおざなりにされていました。
もう一つはテープの鮮度にも問題があったのです。CDの時代に入っても平気でジェネ落ち音源を元にしたアイテムがリリースされていたのですが、今回はファースト・ジェネレーションという血統書付きのコピーから限定のプレスCD化。正確にアジャストされたピッチと合わさって、過去にリリースされた数多くのアイテムを一蹴してしまうクリアネスと聴きやすさを実現してみせました。同じくロー・ジェネレーション音源を元にした前日の決定版「1st Gen Reels」サウンドボードに次いで、77年アメリカ・ツアー4月が生み出した名演の決定版をお届けします。
Disc 1 (60:19)
1. Intro. 2. The Song Remains The Same 3. Sick Again 4. Nobody's Fault But Mine
5. In My Time of Dying 6. Since I've Been Loving You 7. No Quarter
Disc 2 (42:19)
1. Ten Years Gone 2. Battle of Evermore 3. Going to California 4. Black Country Woman
5. Bron-Y-Aur Stomp 6. White Summer / Black Mountainside 7. Kashmir
Disc 3 (60:29)
1. Moby Dick 2. Guitar Solo 3. Achilles Last Stand 4. Stairway to Heaven
5. Rock and Roll 6. Trampled Underfoot
(メーカーインフォによる)