DAVID BOWIE - FAMOUS FAME: HANOVER GRAND 1997 1ST NIGHT(2CD)
Live at the Hanover Grand, London, UK 2nd June 1997 TRULY PERFECT SOUND(from Original DAT Master)
極上の密室クラブギグ・アルバムが登場です。本作に収められているのは「1997年6月2日ロンドン公演」。“EARTHLING TOUR”に先立つシークレット・ギグの模様です。まずは、“EARTHLING TOUR”の概要からショウのポジションをイメージしてみましょう。
・5月17日:ダブリン
・6月2日:ロンドン 【本作】
・6月3日:ロンドン
・6月5日:ハンブルグ
《ツアー本編開始》
・6月7日-8月14日:欧州(46公演)
・9月6日-10月23日:北米(29公演)
・10月31日-11月7日:南米(5公演)
これが“EARTHLING TOUR”の全体像。ツアー本編は80公演あったわけですが、その前にウォームアップが4回。本作は故郷ロンドンでのショウにあたります。
そんな本作最大の旨みは、ボウイを目の前に感じられる密室感オーディエンス・サウンド。現場となった“the Hanover Grand”はやたらと小さいクラブで、300人入るかどうかといった規模。当時は、そんな小さなハコでボウイを見られるとあって、マニア同士で壮烈なチケット争奪戦にもなったそうです。本作のサウンドは、そんな小さな空間の密室感・密着感がすごい。過去に公開されたことのある録音ではあるのですが、本作は大元のDATマスターからダイレクトにCD化した究極盤なのです。実際、楽音の図太さはライン級でありながら、「まるでサウンドボード」と呼んだら音源に失礼に当たる。ディテールまで詳細でありながらも確実に客席録音の旨みがたっぷりと吸い込まれており、“目の前にボウイ”感が圧倒的なのです。スタンディングの最前列でライヴをご覧になったことがあればピンと来ると思うのですが、“手を伸ばせば触れそう”・“すぐそこにいる”という、あの感覚。そんな密着感が大元DATサウンドそのままに吹き出すのです。
その密室感をさらに高めているのが歓声。なにしろ、ヨーロッパ中から争奪戦を勝ち抜いた猛者が集まり、1人ひとりの“想い”が違う。それはもう、開演から明らか。猛烈な喝采でボウイを迎えるのですが、「Quicksand」を穏やかに歌い始めるや全員が大合唱。これが本当に凄い。クラブに居合わせた全員が全員歌っているに違いない。単に唱和のボリュームが大きいのではなく、ボウイと合唱以外の声が聞こえない。クラブだけに小さな話声も吸い込まれてしまうわけですが、それにも関わらず合唱以外に誰も何も話していないのが丸わかりなのです。しかも、その1声1声が明らかに上気していて喜びと興奮に充ち満ちている。ショウは「V2-Schneider」「Battle For Britain (The Letter)」と続き、「Scary Monsters (And Super Creeps)」へと雪崩れ込みますが、ここでも猛烈な大合唱。後半の「Oh, oh, oh」シンガロングの感動的なこと……。掛け値なしの鳥肌モノです。本作から吹き出すのは、そんな熱気を小さな空間に凝縮した濃密な空気。クラブ特有のホコリ臭さまでもが一緒にスピーカーから流れ出てくるようなサウンドなのです。
こう書くと、絶叫まみれのオーディエンス録音をイメージされるかも知れませんが、(決して!)そうではありません。むしろ逆。ここにいるオーディエンスは本気のファンばかりですから、ドラムンベースやジャングルを大胆に取り入れた“新たなボウイ・サウンド”にも興味津々。早く目撃したい、全身に浴びたくて仕方がない……そんな種類の熱狂なのです。ですから、曲間は全力の喝采がクラブに充ち満ちるものの、いざボウイが次の曲へ移ると歌い出すとサッと集中力に変わる。実のところ、新曲では演奏中の会話もごく僅かに吸い込んでいるのですが、それも目の前の新しいサウンドを友人と共有している興奮が滲む。そんなムードのオーディエンス・アルバムなのです。
そんな空気の中で繰り広げられる“EARTHLING TOUR”の音世界がまた最高。このツアーではショウは大きく2部構成になっており、セット1(17曲分)は通常スタイルのコンサートですが、終盤に配されたセット2(7曲分)はドラムンベースをフィーチュア。この日はウォームアップと言うこともあってか、「V2-Schneider」「The Last Thing You Should Do」「O Superman」の3曲が両方のセットで演奏されています。
兎にも角にも、ボウイやコアなファンと一緒にクラブに居合わせる密室のリアリズム。すぐそこにボウイがいて、新たなサウンド紡ぎ出していく空間に身を置く幸せ。その幸福感を大元DATから最高峰サウンド出引き出した逸品です。
クラブなら何でもダイレクトで極上に録れるわけではないのですが、本作は究めてクリアに録られた大成功の見本。どうぞ、今週末は“1997年のボウイ”との密会を存分にお楽しみください。
Disc 1 (73:33)
Set 1
1. Intro. 2. Quicksand 3. Member Introduction 4. V2-Schneider 5. Battle For Britain (The Letter)
6. Scary Monsters (And Super Creeps) 7. I'm Afraid Of Americans 8. Seven Years In Tibet
9. Fashion 10. Outside 11. Little Wonder 12. Looking For Satellites
13. The Last Thing You Should Do 14. O Superman 15. Hallo Spaceboy
Disc 2 (74:51)
1. The Jean Genie 2. Queen Bitch 3. Fame 4. Stay
Set 2
5. Intro. 6. I'm Deranged 7. Pallas Athena 8. V2-Schneider 9. Dead Man Walking
10. O Superman 11. The Last Thing You Should Do 12. Is It Any Wonder?
David Bowie - vocals, guitar, saxophone Reeves Gabrels - guitar, backing vocals
Gail Ann Dorsey - bass guitar, vocals, keyboards
Zachary Alford - drums, percussion Mike Garson - keyboards, backing vocals
(メーカーインフォによる)