LED ZEPPELIN - SAN DIEGO 1975(3CD)
Live at Sports Arena, San Diego, CA. USA 10th March 1975
今回当店がリリースするZEPアイテムの中においても「見過ごされた名演」という言葉がピッタリと当てはまるのがコレではないでしょうか。1975年3月10日のサンディエゴ公演。今や1975年のサンディエゴと言えばEVが発掘した14日のサウンドボード録音の印象が強いかと思われますが、実はそれより前にもライブを行っており、なおかつマニアの間にサンディエゴ公演を知らしめていたのは10日の音源だった…と紹介したいところですが、今となってはそれ以前に10日の音源自体を知らないマニアが圧倒的多数ではないかと思われます。この日の音源は今から約二十年前、「SYMPHONY IN A THOUSAND PARTS」というアイテムがひっそりとリリースされていただけ。それも懐かしのTDOLZからの紙ジャケのアイテム。
コレで3月10日のサンディエゴ公演を熱心に聴き入ったというマニアは皆無でしょう。モコモコとしたこもり気味の録音状態に加え、何よりもピッチの狂いがいただけなかった。ただし、オーディエンス録音自体はステレオ音質であり、こもった音質の割にクリアネスは意外と保たれているという不思議な音源でもあったのです。まだ14日のサウンドボード録音の存在すら知られていなかった1990年代後半、コレは「聴けそうな」音源なんだけど、もうちょっと音質とピッチが安定していれば…リアルタイムで「SYMPHONY IN~」を手に入れたマニアの何人かはそう感じていたはず。とはいってもあまりに昔のアイテムであり、コレ自体を覚えている人数の方が少ないのも事実でしょう。
そうした中で14日のサウンドボードが発掘され、10日の公演や音源に関しては忘れ去られてしまいました。そうした状況の中で、これまたひっそりと10日音源のアップグレードが2012年にネット上で登場していたのですが、その事実もまた忘れ去られていたのです。今回はその知られざるアップグレード・バージョンが限定プレスCDリリースにて登場と相成るのですが、これぞ正にアッパーな状態と呼ぶに相応しいもの。
2012年に登場したバージョンはスーザン・ヘドリックという人物が2012年に公開したものであり、音源の状態は2nd generation。この音源の登場によって「SYMPHONY IN A THOUSAND PARTS」が4th generationコピーの音源を使用したことも判明しています。つまり「SYMPHONY IN~」はいわゆるジェネ落コピーを使用していた。どうりで聴き辛い訳です。
その点において今回は2nd generationまで昇格した音源を使用していますので、そのアッパー感はもう歴然たるもの。せっかくのステレオ録音ながら、こもり気味だった音質が随分と解消され、ステレオならではのクリアネスがより押し出される結果となったのです。またショーが始まって30分くらいは会場の出音そのものがファジーなバランスであり、そんな中でプラントのボーカルは驚くほどくっきり聴こえるというバランスが面白い。こんな独自のバランスが聴きやすさに一役買っているのはもちろん、当初はプラントに偏重したバランスだった様子が伝わってくる。
そのバランスと相まって絶好調ぶりがはっきり伝わってくるのがプラント。考えてみれば3月5日のダラス(これまたサウンドボードがおなじみ)からオフを挟んでのショーであり、彼がいつになく伸び伸びと歌ってみせた様子にも合点がいくもの。アメリカ・ツアーだけでなく75年を通してみてもトップ3に入るのではと思えるほどの好調ぶり。そんな彼の好調の波と合わさった最初の名演が「In My Time Of Dying」。次の「The Song Remains The Same」からは会場の出音バランスもグッとよくなって一気に聴きやすくなる。さらに「The Rain Song」では冒頭の歌詞を「this should be springtime of your loving」と変えて歌ってみせるなど、余裕もたっぷり(後のシアトルでも「The Song Remains~」の歌詞を変えていましたね)。
長尺な「No Quarter」と「Dazed and Confused」では、どちらにおいてもペイジとボンゾのプレイが素晴らしい。それぞれが曲の後半において二人の演奏が凄まじく白熱しているのです。その激しさたるや、14日の公演を軽く凌駕。またこれらの間に挟まれた「Trampled Underfoot」ではプラントが勢い余って歌の構成を間違えてしまう(非常に微笑ましい)ものの、これまた後半はペイジが自由なフレーズを弾きまくるからお見事。そして「Stairway To Heaven」のギターソロの最中までアグレッシブに叩くボンゾも最高!考えてみれば、翌日があのロングビーチであり、75年アメリカ・ツアーにおける絶頂がスタートするその瞬間がこの10日のサンディエゴなのではないでしょうか。
今回のリリースに当たっては「SYMPHONY IN A THOUSAND PARTS」よりは改善されていたものの、「Moby Dick」辺りから顕著だった不安定なピッチの上昇を徹底的にアジャスト。元の状態とは比べ物にならないほど安定した状態へと生まれ変わっており、元々が見事なアッパーぶりをみせていた音源がいよいよ聴きやすくなってプレスCDに封じ込まれたのです。まだヒスノイズの粗さが玉に瑕なオーディエンス録音ではあるものの、それでも俄然「聴き込めてしまう」ほどのアッパーぶり。そして何よりも、この日は演奏が圧倒的に素晴らしい!
★2時間50分収録の素晴らしい唯一無二のソース。何故か既発は過去にTDOLZ(4th Gen使用)のみ。
Disc 1 (53:57)
1. Intro. 2. Rock and Roll 3. Sick Again 4. Over the Hills and Far Away
5. In My Time of Dying 6. The Song Remains the Same 7. Rain Song
8. Kashmir
Disc 2 (53:31)
1. MC 2. No Quarter 3. Trampled Underfoot 4. Moby Dick
Disc 3 (61:39)
1. MC 2. Dazed and Confused 3. Stairway to Heaven 4. Whole Lotta Love 5. Black Dog
(メーカーインフォによる)