JUDAS PRIESTの日本公演は特別です。世界で最初に彼らに「成功」の二文字を味わわせた初来日、大名盤「UNLEASHED IN THE EAST」を生み出した再来日。メタルシーンの浮き沈みとは別次元で、心の底からPRIESTを愛し続けた観客と、それをよく承知したバンドとの交感は、他の国とはまったく違うものです。復活を遂げた2005年に「RISING IN THE EAST」のリリースが発表された際には、世界中のファンから「なぜ日本で撮影するんだ？」との疑問の声が上がり、それに対してバンド側から「日本は特別なんだ」との説明まであったほど。

 

そして、実際にリリースされた映像を観た海外ファンも「そういうことか」と納得したそうです。そんな相思相愛に溢れる“PRIEST IN JAPAN”でも、真に黄金期を満喫していた時期に来日したのは、三度目のMETAL CONQUEROR TOUR 1984だけ。前置きが長くなりました。そんな特別なジャパンツアーの新たな決定盤「METAL CONQUEROR IN OSAKA」がプレス２CDで登場です！

　1984年の来日というと、最終日の日本武道館公演「FAST & FURIOUS（Shades 200）」が大定番として君臨していますが、本作は西の代表音源「９月10日大阪フェスティバルホール」のアップグレード版。「FAST & FURIOUS」は、全世界のマニアを巻き込んだ80年代ベストサウンド議論でも最有力候補に挙げられるスーパー・オーディエンスでしたが、本作もそんな超傑作音源に勝るとも劣らない。実際、今現在も「あの、ジャパン1984が出てきたぜ！」と世界中のマニアが色めき立っている音源なのです。

　そのハイクオリティぶりは、冒頭「Love Bites」から炸裂。会場中を荘厳に揺るがすSEの重厚な響きと言ったら……。演奏がスタートすると各楽器の分離やクリアさには目が覚めるよう。サウンドのキメの細かさや滑らかさでは「FAST & FURIOUS」に半歩ほど及ばない気もしますが、腹に響く中低音の迫力ではコチラ。「The Sentinel」「Rock Hard, Ride Free」にテープ劣化が聴かれるため、最終的には「FAST & FURIOUS」に軍配を上げざるを得ませんが、総合点では本作も肉薄する傑作録音です。

　そんなスーパーサウンドに彩られた、全盛期中の全盛期PRIESTは本当に素晴らしい。「ため息が漏れる」と書きたいところですが、漏れるどころかため息が連発して過呼吸になってしまいそう。70年代の初来日／再来日では伝統の英国ハードロックの薫りを強く身にまとっていましたが、その後の“メタル神宣言”、“アメリカ侵攻”を経た彼らは、まさに神の風格を漂わせている。日本公演はMETAL CONQUEROR TOUR 1984の最終盤だっただけに、ロブ・ハルフォードの声に疲れがないとは言えませんが、その分、キャリアハイの大成功に浸りきった充実感と自信もキャリアハイ。しかも、ギリギリと絞り込む「BRITISH STEEL」「POINT OF ENTRY」「SCREAMING FOR VENGEANCE」のタイト三部作の後、再び英国の湿り気を取り戻した「DEFENDERS OF THE FAITH」の曲を大量に投入しているのですから、ブリティッシュ・サウンドをこよなく愛する日本人には、これ以上ないメタルショウが溢れんばかりなのです。

 

　この日本公演の後、JUDAS PRIESTはオフに入り、翌1985年はLIVE AID出演程度。来るべき新作「TWIN TURBOS」構想に没頭し、再び明るくカラッとしたスタジアム・メタルを目指すことになります。つまり、この日本ツアーこそ、濃厚な英国の薫りと大黄金期の風格を両立させた最後の瞬間だったわけです。その後の長いキャリアでも「伝統と重さ」を度々再確認する彼らですが、「重量」ではなく「重厚」でこの1984年を超えることは、ついぞありませんでした（もし「NOSTRADAMUS」再現ライヴが実現していたら、あり得たのかも知れませんが……）。

　そんな鋼鉄神のキャリアでも頂点となるツアーの、特別な特別な日本ライヴアルバム。もちろん、世界中のマニアが認めたアンダーグラウンドの超名盤「FAST & FURIOUS」を聴いていないことはあり得ませんが、本作もまた、比肩しうる“西の傑作録音”なのです。「DEFENDERS OF THE FAITH」30周年に沸くREDEEMER OF SOULS TOUR 2014-2015が続いている今、当時の本丸音源を永久保存のプレス２CD仕様であなたにお届けします！

Disc 1 (44:20)
1. Love Bites 2. Jawbreaker 3. Grinder 4. Metal Gods 5. Breaking The Law 6. Sinner
7. Desert Plains 8. Some Heads Are Gonna Roll 9. The Sentinel

 

Disc 2 (61:36)
1. Rock Hard, Ride Free 2. Night Comes Down 3. The Hellion/Electric Eye 4. Heavy Duty
5. Defenders Of The Faith 6. Freewheel Burning 7. Victim Of Changes 8. The Green Manalishi
9. Living After Midnight 10. Hell Bent For Leather 11. You've Got Another Thing Comin'

 

Rob Halford - Vocals Glenn Tipton - Guitars K.K. Downing - Guitars Ian Hill - Bass
Dave Holland - Drums