★260枚限定のナンバリング入りステッカー付でのリリースとなります。
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LED ZEPPELIN - VANCOUVER 1973(2CD)
Pacific Coliseum, Vancouver, BC. Canada 18th July 1973
ちょうど一か月前、当店は1973年7月17日のシアトル公演を「SEATTLE 1973 MASTER REELS」としてリリースいたしました。そこでは7月に好不調の波が激しかったロバート・プラントがマディソン・スクエア・ガーデン到達以前で最高とも言えるコンディションの歌を聴かせてくれた名演として、昔から有名でした。ところが翌日のバンクーバーでのライブになるとプラントは一転して絶不調、挙句の果てにショーは大幅に短縮して終わってしまうという結末。シアトルであれだけの快演を聴かせたプラントに一体何が起きたのでしょうか。
まず1973年ツアーの7月の日程は初日のシカゴからしてプラントは喉の調子が非常に悪く、前途多難な幕開けとなっていました。にもかかわらずシカゴ初日はサウンドボード録音が古くから出回っており、彼のあまりに調子が悪い歌声にのけぞってしまったマニアが多かったのではと思われます。
そこからのプラントは喉の調子が徐々に回復していった(この辺りは75年のアメリカ・ツアーの時よりも順調でした)ところ、もっとも好調となったのが先の名演シアトルです。ツアー終盤という状態と相まって映画「THE SONG REMAINS THE SAME」の撮影が入っていたことから気合が入っていたMSGと違い、シアトルはツアーにおける一日でしかありません。にもかかわらず、あれだけ気合の伝わる歌を聴かせたプラント。しかしそこでの無理がたたったのでしょう、翌日のバンクーバーのステージに響いてしまったのかもしれません。
今回リリースされるバンクーバーのオーディエンス録音は最初にライブ前半だけを捉えた不完全版が登場します。ところがそれを聞いただけでも、プラントの不調ぶりは明らかでした。最初の二曲だけでも前日シアトルとの違いが歴然。いかにも歌うのが苦しそうなプラント。確かにシアトルでも序盤の彼はエンジン全開という訳ではありませんでした。ところがこの日のプラントはそういったレベルを超えた調子の悪さ。シカゴ初日の悪夢よ再びと言っても過言ではありません。おまけに「Black Dog」を終えたところでは実際にしんどそうな調子を覗かせるかの様なMCまで聞かれるほど。この時点でプラントに変調が起きていたのは明らかでしょう。
皮肉なことに、プラント以外の三人はオープニングから絶好調。例えば「Celebration Day」のエンディングなどは相当にハイなテンションで演奏が畳みかけるように終わっています。アメリカに限らず、73年のステージにおけるZEPはプラントが不調なほど他の三人の頑張りが目立つという傾向が見られますが、この日も例外ではありません。演奏は正に煮えたぎるような気迫に溢れている。恐らくはショー開始前からプラントの不調が明らかとなっており、それでもステージをこなさなければならないというプロ意識から、このような演奏の気迫に現われたように思えるのです。
プラントの喉の不調も「Misty Mountain Hop」辺りでは小休止となったように映り、その後「Since I've Been Loving You」に「No Quarter」という、歌のパートよりも演奏のパートが長い曲が続いたことは、彼にとってさらなる救いの道となったかのように思えました。ところが現実にはプラントが相当に不調だったようで、本来なら次に演奏されるべき「The Song Remains The Same」と「The Rain Song」が省かれてしまいます。これもまたライブ開始前に決められていた可能性が考えられました。
そしてショー全体を収録したバージョンが発掘されると、同じように歌パートよりも演奏のパートが多くを占める「Dazed And Confused」へと移ってみても、やはりプラントの声は苦しそうであったことが明らかとなっています。この後ボンゾのドラム・ソロ「Moby Dick」で時間稼ぎをすることも可能だったように思えるのですが、実際には「Stairway To Heaven」を演奏して強制終了となってしまいました。もちろん、そこでも彼の声の調子が相変わらず辛そうだったのは言うまでもありません。
73年ツアーにおいて毎晩のクライマックスとなっていた「Stairway To~」の後は、畳みかける様なライブの終盤が待ち受けている…そう思っていた観客に告げられたのは無情にも「レッド・ツェッペリンは会場を後にしています、ロバート・プラントは病院に搬送されました」というアナウンス。あまりにも意表を突いた展開に、さっきまで沸き返っていた会場がシーンと静まり返ってしまうほど。
このハプニングですが、プラントが出演前に楽屋で飲んだドリンクにドラッグのような異物が混入されてしまい、彼がバッド・トリップに陥ってしまった…という推測もあります。しかしこうして音源を聴いてみると、彼の喉の調子が根本的に悪かったというのが一番の原因だったように思えてなりません。それでいて他の三人の演奏は本当に充実していて「Dazed And Confused」の終盤、さらには「Stairway To Heaven」後半などにおいてジミー・ペイジの素晴らしいプレイが見事なまでに輝きを放っていたのです。
おまけにこの日のオーディエンス録音は音質がなかなかに良好であり、前日の「SEATTLE 1973 MASTER REELS」に勝るとも劣らないクオリティを誇ります。それどころか、何とこちらはステレオ録音。確かに「Black Dog」の序盤が収録されていないといった問題はありますが、ここ何年もアイテムが存在しなかった音源だけに、むしろ聴きやすさに驚かされる人の方が多いのではないでしょうか。
先に触れたプラント以外の三人による演奏の充実ぶりも同様。そして今回の限定のプレスCDによるリリースに際し、改めてマスターから収録し、さらにショー後半で遅かったピッチも正確にアジャスト。そしてペイジが不調のプラントをカバーするかのような名演となった「Stairway To~」で散見されたノイズは丁寧に削除しました。一夜のショーでここまでハプニングに溢れた、73年アメリカ・ツアー究極のドキュメンタリー音源が久々かつ最高の状態にてリリースされます!
Disc 1 (47:39)
1. Rock And Roll 2. Celebration Day 3. Black Dog 4. Over The Hills and Far Away
5. Misty Mountain Hop 6. Since I've Been Loving You 7. No Quarter
Disc 2 (36:57)
1. Dazed And Confused 2. Stairway To Heaven 3. Announcement
(メーカーインフォによる)